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都市銀行や信用金庫などで、不動産担保融資を受けることができます。金融機関ごとに審査のポイントが異なるため、それぞれの特徴を把握しておきたいところです。不動産担保融資のメリットとデメリットのほか、融資を受けることのできる金融機関と、その審査基準などについて解説します。
不動産担保融資を受けられる金融機関と審査のポイント
マンションやアパートなどの不動産を担保にしてローンの借入れを行うことを、不動産担保融資といいます。不動産担保融資は無担保融資と比べて、一度に借り入れられる金額が大きく、低金利で、長期返済を可能としている点が特徴です。
今回は、不動産担保融資のメリットとデメリットのほか、融資を受けることのできる金融機関と、その審査基準などについて解説します。
不動産担保融資を受けるメリットとデメリット
不動産担保融資は、不動産という資産が担保されているため、無担保融資と比べて借入期間を長く設定できたり、低金利で融資を受けることができたりするといったメリットがあります。担保にできる土地がある人や低金利で融資を受けたい人、無理のない返済計画を立てたい人にとってはおすすめの融資といえるでしょう。
ここでは、不動産担保融資を受けることによるメリットとデメリットをご紹介します。
メリット 低金利で高額の融資が受けられる
不動産担保融資では、不動産を担保とするため、無担保融資と比べて高額の融資を受けることができます。また、返済期間を長く設定することが可能のため、月々の返済額が低くなり、返済計画に余裕が生まれます。
何らかの事情で返済が不可能になった場合でも、金融機関は不動産を売却することで残債を回収することができるため、低金利で融資を受けることができます。また、無担保融資では、ほとんどの場合に必要となる連帯保証人も、不動産担保融資では不要となることがあります。
デメリット 返済できないと不動産を失う可能性もある
不動産担保融資を利用する場合、抵当権の登記費用や不動産の鑑定費用など、手数料が必要となる場合があります。また、不動産を担保にして融資を受けるため、返済できなくなった場合には不動産を売却しなければなりません。
不動産担保融資では、返済期間が長期間になることを前提に金利を低く設定しています。そのため、ローンを一括で支払われてしまうと、金融機関にとっては利益が減ってしまうという一面があります。そのため、金融機関の中には、一括返済をした際に違約金を請求するところもあります。将来的に一括返済をする可能性がある場合は、違約金の有無や条件について調べておきましょう。不動産は価値が変動するため、担保にしている不動産の価値が下がってしまった場合、追加としてさらに担保を請求される可能性があります。
融資を受けるための審査基準は?
それぞれの金融機関によって特徴や審査基準がありますが、すべての金融機関に共通する審査基準も存在します。それは「個人の信用」と「物件の資産価値・収益性」についてです。
不動産担保融資を受ける際に必要なこれらの要素は、具体的にどのようなものなのでしょうか。
返済能力を示す「個人の信用」
不動産担保融資を受けるためには、住宅ローンと同様に個人の信用が必要となります。ここでいう信用とは、年収や年齢、勤務先の規模や勤続年数、過去の支払いに遅延がないかなどといった、将来にわたってローンを返済できる能力があるかということです。
担保の価値となる「物件の資産価値・収益性」
不動産担保融資の審査では、個人の信用だけでなく、購入した物件の資産価値と収益性も重要視されます。
物件の資産価値が重要な理由は、万が一返済が滞った際の担保になっているからです。資産価値が低ければ、物件を売却した場合にローンの残債が回収できなくなってしまいます。また、収益性が低いと、物件の家賃収入がローンの返済額を下回り、返済が滞ってしまうリスクが考えられます。
それらのことを避けるためにも、最寄り駅までの所要時間、生活の利便性、競合物件の有無といった収益性がきびしくチェックされるのです。
不動産担保融資を受けるためには自己資金の準備が大切
不動産担保融資を受ける際には、融資額の1~3%程度の手数料が必要となるため、自己資金を用意しましょう。また、不動産収入が減ってしまったり、想定外の出費があったりした場合にも、自己資金があれば安心です。
そのほかに、自己資金が多いと返済が滞るリスクが低くなるため、金融機関が金利を下げてくれる可能性もあります。自己資金は多ければ多いほど有利な条件で融資を受けることが可能です。余裕を持って準備することをおすすめします。
不動産担保融資を受けられる金融機関と特徴
不動産担保融資は、都市銀行や信用金庫、ノンバンクなどで取り扱われています。取り扱う金融機関によって金利に幅があり、審査基準も異なります。金利水準は都市銀行が一番低く、地方銀行・信用金庫、ネット銀行、ノンバンクの順に高くなります。反対に、審査基準はノンバンク、地方銀行・信用金庫、ネット銀行、都市銀行の順にきびしくなります。
ここでは、金融機関ごとの不動産担保融資の特徴を見ていきましょう。
都市銀行(メガバンク)
三菱UFJ銀行やみずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行といったメガバンクで融資を受ける場合、他の金融機関に比べて金利が低く、返済期間も長く設定できるという特徴があります。ただし、上場企業の社員であることや年収が高額であること、自己資金に余裕があること、不動産の収益性が見込めることといった、返済能力や事業の収益性の高さが必要となります。また、メガバンクのきびしい審査を通ったという事実がその後の信用につながるため、次の融資を受けやすくなります。
メガバンクは審査基準がきびしいため、誰でも利用できるわけではありません。信用力を高めるための取組みや審査に向けた入念な準備が必要です。
地方銀行・信用金庫
地方銀行や信用金庫は、メガバンクに比べると規模が小さく、県単位もしくは市単位を対象とした金融機関です。金利も低く、不動産投資を目的とした融資に対して積極的な場合が多いため、不動産担保融資を考えている方にとって検討候補となるでしょう。
しかし、地方銀行や信用金庫の中には、限られたエリアの物件にしか融資を行わないところもあります。自宅や職場の近くに支店があるかといった点も審査基準となるため、事前に融資条件を確認しましょう。地方銀行や信用金庫はメガバンクより審査基準が緩いといわれていますが、審査基準は機関によって差があります。
ネット銀行
最近では、店舗を持たないネット銀行を利用する人も増えています。地方銀行や信用金庫と比べて融資を実行する物件の種類やエリアが幅広い反面、他の銀行と比べると金利はやや高いことが特徴です。
店頭での相談と比べて融通が利かない部分もあるため、検討候補としての優先順位は、地方銀行や信用金庫より低いでしょう。
ノンバンク(クレジット会社、消費者金融)
消費者金融、クレジット会社、信販会社などのことをノンバンクと呼び、他の金融機関と比べると金利が高いことが特徴です。一般的には返済能力や与信の低い人が利用するケースが多いため、最初の融資候補がノンバンクということになると、その後の融資審査にあまり良い印象を与えません。
メガバンクや地方銀行・信用金庫など、すべての審査に落ちてしまった場合や、審査スピードを優先しなければならない事情がある場合にノンバンクを利用することになるでしょう。
不動産担保融資のしくみを理解して正しく利用しよう
不動産担保融資では、個人の信用だけでなく物件の価値も重要視されます。融資を受ける金融機関によっても、金利や返済期間が異なります。
不動産担保融資のしくみや、それぞれの金融機関の特徴を理解して、正しく利用しましょう。