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【初心者向け】つみたてNISAとは
つみたてNISAは2018年1月に始まった、積立投資専用の少額投資非課税制度(NISA)のことです。長期的な資産形成をしたいと考えている投資未経験者のサポートを目的としています。
投資可能期間はもともと2037年まででしたが、2020年度の税制改正で2042年まで延長されることが決まっています。
つみたてNISAの投資対象は金融庁が定めた、長期の積立や分散投資に適した一定の投資信託(ファンド)のみとなっており、投資額は年間で最大40万円です。
つみたてNISAを始めた年から最長で20年間にわたり、分配金や売却益が非課税となるため、中長期にわたってコツコツと資産運用できます。
つみたてNISAが初心者でも始めやすい3つの理由
つみたてNISAが初心者でも始めやすいといわれる3つの理由を紹介します。
理由1.少額から始められる
つみたてNISAは、大半の金融機関において最低1,000円の少額から積立金額を設定すれば、始められます。ネット証券など一部の金融機関では最低100円から積立可能なところもあります。
そのため、株式投資や不動産投資と異なり、準備資金としてまとまったお金を用意する必要がないことから生活に負担をかけずに済みます。
また、つみたてNISAの積立金額はいつでも自由に変更可能です。無理なく少額からスタートし、まとまった資金を用意できるなどの余裕が出てきたら、都度設定金額を見直すことをおすすめします。
理由2.投資商品を選びやすい
つみたてNISAの対象となる金融商品は、金融庁が認めた一定の条件を満たす投資信託と上場投資信託(ETF)の計213本のみとなっています。(2022年4月26日時点)
それらの商品は販売手数料が無料(ノーロード)であることに加え、投資信託を保有している間にかかる運用管理費用(信託報酬)も上限が決められているなど、投資にかかるコストが低いことが特徴です。
一般的な投資信託の購入や運用には別途手数料がかかるため、長期間資産を保有しているとコストがかさんでしまうこともあります。
コスト以外にも、大きく失敗するリスクが抑えられているため、投資初心者であっても始めやすい投資といえます。
理由3.投資タイミングを任せられる
つみたてNISAは、その名のとおり投資方法が積立のみに限られています。金融機関によって選べる積立頻度は異なりますが、あらかじめ指定した金額が毎月指定した日に自動で引き落とされます。
そのため、一度積立金額を設定すれば買い付けの手間がかからず、投資初心者であっても比較的簡単に投資が始められます。
投資の売買タイミングを判断するのは投資のプロでも難しいものです。投資タイミングの判断がいらないことは投資初心者にとって大きなメリットといえます。
初心者は要チェック!つみたてNISAの注意点
つみたてNISAには多くのメリットがある一方で、元本が保証されているわけではありません。そのため、運用中に値下がりするリスクはもちろんのこと、元本割れするおそれがあることを覚えておきましょう。
また、ほかにも次のような注意点が挙げられます。この項目では3つの注意点について解説します。
・選べる投資商品が少ない
・非課税枠の持ち越しができない
・損失時に税制優遇を受けられない
選べる投資商品が少ない
日本には約6,000本の投資信託がありますが、つみたてNISAで購入できるのは金融庁が定めた一定の投資信託(ファンド)と、上場投資信託(ETF)に限られます。
それらは販売手数料が0円(ノーロード)の商品や、信託報酬が低い商品であるため、長期運用においてメリットが大きいといえるでしょう。
しかし、つみたてNISAでは国内外の株式やREITに投資できません。そのため、投資先として国内外の株式やREITを選びたい場合は、一般NISAを選ぶ必要があります。
非課税枠の持ち越しができない
先にもお伝えしたように、つみたてNISAの年間投資額は最大40万円です。非課税枠を年内に使い切れず、余った場合は、翌年に持ち越すことができません。
たとえば、1年間の投資総額が20万円だった場合、残りの20万円を翌年に持ち越して60万円分投資することはできません。
そのため、限度額まで使い切ることを想定しているのであれば、定期的に積立金額を確認しながら投資を進めましょう。
損失時に税制優遇を受けられない
つみたてNISAでは通常の投資と異なり、損失が出た場合に損益通算や繰越控除ができません。
損益通算ができない
複数の口座で投資をしていると、「口座Aでは40万円の利益が出たのに対し、口座Bでは20万円の損失が出てしまった」など、利益と損失の両方が生じることは珍しくありません。
その際、利益と損失を合算した本来の利益(上記の例でいえば20万円)をもとに税金を計算することを損益通算といいます。つみたてNISAではこの、損益通算が利用できません。
そのため、NISA口座で損失が発生し、他口座で利益が出たとしても相殺はできず、他口座で発生した利益全額に対する税金を支払う必要があります。
繰越控除の適用がない
繰越控除とは、損益通算で損失を相殺できなかった場合に残った損失を確定申告による適用以降3年間にわたって繰り越し、翌年以降の利益から差し引ける仕組みのことです。
損益通算と同様に税負担を軽くするための制度ですが、そもそも損益通算ができないつみたてNISAでは、繰越控除も適用できません。
つみたてNISAを始める4つのステップ
つみたてNISAの概要と注意点などについて解説しました。ここでは、つみたてNISAの始め方について紹介します。
ステップ1.口座を開設する証券会社を選ぶ
つみたてNISAを始めるには、証券会社をはじめとしたつみたてNISAを取り扱っている金融機関の口座開設が必要です。つみたてNISAを取り合っている金融機関は、証券会社のほかに、銀行、信託銀行、郵便局、農協、信用金庫、信用組合、労働金庫などがあります。
つみたてNISAの口座は1人1口座しか開設できません。口座を開設する金融機関を1年単位で変更することも可能ですが、手続きが煩雑となるため基本的には変更しないことをおすすめします。
また、金融機関によって取扱銘柄の数や最低積立金額が異なるので確認が必要です。自分が購入したい商品が決まっている場合は、該当する金融機関を選びましょう。
購入する商品を決めきれない場合は、相談できるなどサポート面の充実さで選ぶのも良いでしょう。
ステップ2.口座開設の申込を行う
つみたてNISAの口座を開設するにあたって、手数料などはかかりません。口座開設にあたっては各金融機関の窓口や郵送のほか、オンラインでも申込ができます。
口座申し込みの際はマイナンバーカード、もしくは通知カードと本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)が必要となるため、用意しておきましょう。
また、証券口座そのものを持っていない場合、つみたてNISAの口座とあわせて証券口座の開設も必要です。口座開設時には、口座の種類を一般口座と特定口座のどちらにするか選ばなければなりません。選択する口座によって、確定申告の有無が異なります。
確定申告の有無 | 口座の種類 |
必要 | 特定口座(源泉徴収なし)、一般口座 |
不要 | 特定口座(源泉徴収あり) |
特段の事情がなければ、確定申告の手間が省ける源泉徴収ありの特定口座の開設が便利です。
申込書類を提出後、税務署での確認に2~3週間程度かかります。簡易NISA口座開設を利用できる金融機関であれば、税務署の確認を待たずにつみたてNISAの購入申し込みが可能です。
手続き完了後は自動的に投資を続けられます。
ステップ3.証券会社に入金の手続きをする
つみたてNISA口座の開設手続きが完了したら、投資資金の入金を行います。入金方法は、自動引き落としや銀行振込などから選べます。ただし、金融機関によって異なるため、前もって確認しておきましょう。
なお、入金時に積立金額もあわせて決定することになりますが、年間の非課税枠を加味すると月々の上限額はおおよそ33,000円となります。
資金不足によって買い付けできないことを避けるために、自動引き落としを設定しておくのがおすすめです。資金に余裕がある場合は、年間上限額である40万円を前もって口座に入金しておくのも良いでしょう。
ステップ4.積み立てる投資商品を選ぶ
証券会社によって取り扱い銘柄の種類や数が異なるものの、次の点に注目しながら投資商品を 選びましょう。
・投資信託やETFの投資先
・信託報酬など手数料のコスト
・運用パフォーマンス
金融機関のサイトで条件を絞り込んで投資商品を検索できますので、確認しましょう。投資信託には株式型・債券型があり、投資先は国内または国外のふたつに分けられます。それぞれリターンやリスクが異なるため、自身の投資スタイルに合った投資先を選ぶことが重要です。
また、投資商品によって信託報酬などの費用が異なります。同様なタイプの投資商品を選ぶときは、それぞれにかかるコストを比較することが必要です。
さらに、各証券会社のWebサイトで運用パフォーマンスについても確認することをおすすめします。安定した運用を見込める目安となる純資産総額が50億円以上あるか、増加傾向であるかなどを確認しましょう。
購入する投資商品にかかわらず、自身の資産を使用することに変わりはないため、慎重に選ぶことをおすすめします。
まとめ
今回の記事ではつみたてNISAの始め方と注意点について紹介しました。投資全般に共通することですが、つみたてNISAへ申し込む前に投資のリスクや基礎知識について確認しておくことは重要です。
つみたてNISAは長期にわたって付き合っていくものだからこそ、しっかりと自分で納得したうえで始めましょう。