投資信託はいくらから買える?少額ではじめるときのコツ4つ

投資信託は、経済や金融などの知識に精通した専門家に、資産運用を代行してもらう投資方法です。投資に詳しくない初心者でも、手軽に始められるメリットがあります。 また、複数の投資家から小口のお金を集めて運用するため、リスクを軽減させる分散投資を少ない資金でできる点も魅力的です。 ここでは実際にいくらから投資信託をはじめられるのか、具体的なコストとともに解説します。

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【いくらから?】投資信託は少額からはじめられる

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投資信託は、証券会社が複数の投資家から預かった資産をひとまとめにして、大きな資産として運用します。一人あたりの投資額が少なくても、複数人分を合わせることで分散投資が可能な金額になります。

運用成果は、それぞれの投資家の投資額に応じた割合で分配される仕組みです。大金を預けた場合は大きなリターンが期待できる一方、少額からはじめられる手軽さもあります。

投資信託にかかるコスト

少額から挑戦できる投資信託ですが、コストが生じる点に注意しなくてはなりません。あらかじめ理解しておくべきコストは、販売手数料、信託報酬、監査報酬、売買委託手数料、信託財産留保額の5つです。

ただし手数料は証券会社や店頭、ネットによって変動するため、利用予定の会社やサービスで事前に確認することをおすすめします。

販売手数料

金融商品の一種にあたる投資信託を購入するときに発生するのが、販売手数料です。そのほかのコストと同様に、運用したい資産とは別途用意しておきましょう。

販売手数料は、投資信託を購入する証券会社などに直接支払うものです。利用する会社・サービスによっては「ノーロード」という販売手数料が無料となる場合もあります。

信託報酬

信託報酬は、運用期間中に発生する費用です。逐一支払うのではなく、間接的に差し引かれます。信託報酬は、運用にかかる以下の費用にあてられます。

・運用報告書の作成費

・報告書の発送費

・資産保管にかかる費用

・そのほか運用にかかる費用

資産保管にも活用されることから、信託報酬ではなく「資産保管費用」の名で差し引かれていることもあります。

監査報酬

投資信託は、定期的に監査法人からの監査を受けることで高い透明性を保っています。監査報酬は、決算ごとに行われる監査に対して支払う費用です。投資信託の計理  が不正に行われていないかチェックする監査法人のおかげで透明性が保たれているため、安心のためには欠かせない費用といえます。

売買委託手数料

投資信託は、株式や債券など複数の金融商品に分散投資するため、組み入れた株や債券によっては売買が生じることもあります。売買委託手数料は、資産運用を依頼した証券会社などが株式などの売買を行うたびに計上される費用です。

信託財産留保額

多くの費用は間接的に差し引かれますが、投資信託の購入時に発生する販売手数料と同じく、信託財産留保額は証券会社などへ直接支払う必要があります。信託財産留保額は株式などを売却するときの費用で、会社によっては必ずしも発生するとは限りません。

投資信託は100円から取引できる

投資信託は、一部の証券会社では100円から気軽に利用できるようになっています。投資額が少ない分リスクも小さくなるため、初心者にとってもはじめやすいのが魅力です。また、証券会社によっては自社ポイントを投資に利用できる仕組みができており、100円程度の少額であればポイントで投資信託を体験することもできます。

ただし注意点として、すべての証券会社が100円からの投資に対応しているわけではありません。 最低1万円からと設定している証券会社も多いため、100円からはじめたい場合は1万円以下でも利用できる証券会社を見つけましょう。

また、証券会社が100円投資を可能としていても、投資先ごとに最低金額が多岐にわたるため、実際は 利用できない場合もあります。

【購入方法】買い方によって投資金額が増えることも

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投資信託を購入するときは、「口数指定」もしくは「金額指定」を選ぶことができます。それぞれメリットもある一方、買い方によっては投資金額が当初の予定よりも増えてしまうことがある点に注意しましょう。

ここでは買い方次第で投資金額が増える理由と、「口数指定」と「金額指定」それぞれの特徴について解説します。

口数指定で購入する

口数指定とは、投資信託の取引単位を指定したうえで購入する方法のことです。切りの良い口数で購入できるため、基準価額をもとに自力で購入金額を計算できるメリットがあります。

購入金額の算出方法は、以下のとおりです。

{約定時の基準価額×(1+手数料率(税込み))}×口数÷1=1口あたりの購入金額

なお、口数指定で購入した投資信託は、1万口単位で分配されます。1万口単位での購入金額を知りたい場合は、上記の計算式のうち最後の「×口数÷1」を「×口数÷10,000」に書き換えることで算出可能です。

計算しやすいメリットがある一方で、口数指定による購入はリアルタイムで購入金額が分からないというデメリットももっています。購入金額が分かるのは基準価額判明後になるため、早くても翌日以降です。

翌日の新聞に掲載された基準価額を確認するか、金融機関に問い合わせましょう。中には購入申し込み当日ではなく、翌営業日の基準価額が適用される投資信託もあります。投資信託説明書であらかじめ確認しておくことが重要です。

このように一部の情報が後出しとなることから、口数指定は想定よりも投資金額が高くなるリスクがあります。

金額指定で購入する

金額指定は口数を指定せず、「いくら分だけ購入したい」と金額のみを指定して購入する方法です。口数指定の場合は申し込み翌日に購入金額などが判明しますが、金額指定は申し込んだ時点で手数料と購入金額が確定します。金額指定のデメリットは、翌日以降に基準価額が判明するまで購入できた口数を把握できないことです。

基準価格が判明した後は、以下の計算式で購入できた口数を算出できます。

投資金額÷判明した基準価額(単価)×10,000=購入できた口数

一般的には、100万円など切りの良い金額を指定して購入します。口数が購入申し込み直後に分からない一方で、金額指定は想定以上に費用が膨らまないのがメリットです。投資信託の購入を予算内に収めたい場合は、口数指定よりも金額指定で購入しましょう。

【初心者向け】少額で投資信託をするときのコツ

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初心者の方は、少額からはじめることで損害リスクを抑えつつ投資の基礎を学べます。少額で投資信託をするときは、3つのコツを念頭に置いて購入や運用を行いましょう。

少額での投資信託で覚えておきたいコツは、次のとおりです。

目標金額に応じた運用をする

まずは目標金額を設定しておきましょう。目標金額を明確にすることで、最適な運用につながります。

投資というと短期間で稼げるイメージをもっている方もいますが、実際はある程度の投資期間が必要です。たとえば100万円を2倍に増やそうとすると、利回り7.2%の運用でも12年かかります。

リスクを抑えつつ資産を増やしていくためには、投資期間を長く設定したり、投資金額を増やしたりする工夫が必要です。ただし、単純に投資期間を長くすれば良いとも限りません。

投資信託の分配金は信託財産から出るため、長期の投資期間となれば信託財産そのものの価値を著しく低下させるおそれがあります。運用が非常にうまくいっていれば問題ありませんが、長期投資にもこのようなリスクがあることを理解したうえで資産運用を行いましょう。

分散投資する

前述したとおり、投資信託は少額での出資が可能であるため、分散投資に適しています。リスクを軽減するためには、分散投資を行いましょう。

分散投資とは、投資先をひとつに絞らず複数に分けることです。株式だけではなく債権にも投資するなど分散投資を行うことで、万が一ひとつの投資先が失敗したとしても受ける損害を抑えられます。

ひとつの投資先に絞り込むと、運用に失敗したときに影響が全体に及んでしまいます。分散投資を賢く利用して、リスクを軽減させましょう。

特に初心者の方は、リスクヘッジとしてまったく異なる投資先に出資する方法もおすすめです。

基準価額より利回り率で比べる

投資信託の購入において基準価格を重視してしまう傾向は仕方ありませんが、基準価格の高低差のみを判断材料とすることは避けるべきです。そもそも投資信託の基準価格は1万円からスタートするもので、運用開始からの期間が短い場合はうまくいっていても高額にはなりにくい特徴があります。

正確に比較するためには、同じ時期の利回り率や値上がり率に注目することがポイントです。

まとめ

投資信託は専門知識がなくても少額からはじめられるというメリットをもっています。しかし購入方法を間違えると予定していた費用以上の購入金額となったり、うまくいかなかったときに大きな損害を受けるリスクがあります。

そのため、投資信託を検討する方は「いくらからはじめられるか」だけではなく、「どのような投資方法・購入方法を選ぶか」も重視すべきです。