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投資にはさまざまな種類があります。そのなかでも、比較的少額から始めることができる投資手法が投資信託です。投資家から資金を集め、プロが運用を行う投資信託……今回は、そんな投資信託の特徴と分配金の仕組み、受け取り方について解説します。
投資信託とは
投資信託とは、複数の投資家から資金を集め、集まった資金をプロが株式や債券に投資・運用し、そこから得られた利益を投資額に応じて、投資家に分配する金融商品を指します。
投資信託には、株式投資や不動産投資などさまざまな種類があります。いずれにしても、複数の投資家から資金を集めて投資を行うという特徴があり、投資家にとっては少額から投資できるというメリットがあります。
さらに、資産運用はプロに委託するため、運用の専門的な知識がなくても始められます。運用の手間が省けるため、初心者の人でも始めやすい投資手法です。
ただし、運用をプロに任せたからといって必ずしも利益を得られるというわけではありません。損失が発生した際には、それぞれの投資額に応じて投資家に帰属されます。運用はプロが行いますが、そのリスクは投資家が負うのです。
投資信託のメリット
投資信託の主なメリットは以下の通りです。
- 少額から投資できる
- 運用をプロに任せられる
- 分散投資しやすい
- 透明性が高い
まず、投資信託の大きなメリットは、少額から投資できることです。投資にあたって資金の一部のみを支払えばよいため、投資額を低く抑えることも可能です。
また、運用をプロに任せられるというメリットがあります。多くの投資では、自分で商品を吟味し、購入して運用しなければなりません。しかし、投資信託であれば、商品の購入および運用をプロに任せられます。
株式や債券、FX、暗号通貨……こうした資産に自ら投資し、運用を続けるためには膨大な知識が必要です。しかし、投資信託で運用をプロに任せれば、自分で知識を身につけたり、運用したりする手間が省けます。
さらに、分散投資しやすいといったメリットがあります。前述の通り投資信託は、少額から投資できます。そのため、分散投資で同時に複数の商品を購入しやすいのです。
分散投資することで、リスクを分散できます。さまざまな動きをする投資信託に投資しておくことで、1つの商品で損失が発生しても、他の商品の利益で損益を補填できるのです。
最後に、投資信託は透明性が高いというメリットがあります。なぜなら、取引価格となる基準価格が毎日公表されていて、決算ごとに監査法人の検査が入るためです。自分が預けたお金が、実際どのような使われ方をしているか明示されることは重要でしょう。
投資信託のデメリット
投資信託には魅力的なメリットがある反面、以下のようなデメリットも持ち合わせています。
- 元本保証がない
- 手数料がかかる
- 自由に売買できない
投資信託には元本保証がありません。そのため、万が一投資した商品が元本割れした場合は、投資額に応じて投資家に帰属されてしまいます。投資信託のリスクを軽減するためには、分散投資や長期投資を心がけましょう。
また、投資信託は購入手数料や信託報酬、信託財産留保額といった手数料が必要です。手数料の分だけリターンが減少することを把握しておきましょう。
さらに、投資信託は自分のタイミングで自由に売買できません。なぜなら、その日の基準価格が公表される前に売却しなければならないという決まりがあるためです。株式投資で株価を見て自由に売買できるように、自分の判断でタイムリーな投資を行いたい方には不向きだといえます。
投資信託の分配金についての基礎知識
投資信託は、投資した商品に利益が出た場合、投資額に応じて分配金が支払われる商品もあります。ここからは分配金の仕組み・種類・利息について詳しく解説します。
分配金の仕組み
分配金とは、運用で得た利益を投資家に分配する金額を指します。株式投資の配当金と混同されがちですが、両者は別物です。
投資信託における分配金は、運用状況に応じて半年や1年などの一定期間ごとに運用会社から支払われます。対して株式投資の配当金は、投資先の企業から決まった時期に利益の一部が支払われます。
ただし、両者の分配金は必ず支払われるものではなく、運用している商品に利益が出た場合のみ支払われます。また、投資信託の商品によっては、分配金が支払われない契約の商品も含まれているため、注意が必要です。
分配金が支払われない投資信託は、複利効果が得られるという特徴があります。なお、複利効果とは、運用で得た利益を投資額に充当して投資元本を増やし、利幅を増額させることです。
分配金の種類
分配金には普通分配金と特別分配金の2種類があります。
普通分配金とは、運用によって得た利益を投資家に支払う分配金のことです。投資家が普通分配金は投資によって得た利益であるため、課税対象となります。
一方で特別分配金とは、運用によって得た利益ではなく、元本の一部を投資家に戻す分配金のことです。受け取った特別分配金の額だけ投資額も減るため、その分得られる利益が少なくなります。しかし、特別分配金では元本の一部が戻ってきているため、投資で得た利益とは見なされず課税対象には含まれません。
投資信託 分配金の取り扱い方法
投資信託は投資する商品によって、分配金ありと分配金なしに分けられます。両者の違いについて、それぞれの概要やメリット、デメリットを解説します。
分配金あり
分配金ありは、投資額に応じて利益の一部を受け取れます。利益が出れば配当金を受け取れるため、定期的に利益を受け取れるというメリットがあります。一方で、一定期間ごとに利益が分配されるため、複利効果が期待できないというデメリットがあります。
分配金なし
分配金なしのメリットは複利効果が期待できることです。複利効果が期待できることで、運用期間中に得た利益は分配されず、投資額に上乗せされていきます。
ただし、定期的に利益を受け取れないほか、過去に運用成績がよかったとしても、解約または売却時に損失が生じていた場合は、それまでの運用益を一切受け取れないというデメリットがあります。
投資信託の分配金の注意点
分配金にはいくつかの注意点があることも把握しておかなければなりません。そこで、分配金に関する2つの注意点について解説します。
分配金だけで良い投資信託は分からない
まず、注意すべき点は、分配金が多いというだけでよい投資信託と判断しないことです。
投資するうえでの判断基準のひとつとして、過去の運用・分配実績を分析することは重要です。しかし、どんなにこれまでの運用実績がよかったとしても、将来的に継続した効果を期待できる保証がないため、過去の運用・分配実績だけで判断することは危険です。
初めての決算時に多くの分配金が受け取れても、次の決算時は損失が生じているといったケースは少なくありません。
また、分配率が良いということは、その分、利益の多くを分配している、つまり、複利効果を下げることにつながっています。そのため、分配金の多さだけ安易に投資を決めることは避けておいた方がよいでしょう。
まとめ
前述のとおり、投資信託にはさまざまなメリット・デメリットがあります。そのなかでも特徴的な分配金の仕組み。投資信託は初心者でも始めやすい投資手法ですが、普通分配金と特別分配金の違いなど、基本的な知識を身につけたうえで始めることが大切です。