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老後を独身で過ごす場合に必要な資金
老後を独身で過ごす場合に必要な資金を知るためには、何歳まで生きるか、毎月どれくらいの支出があるか、また公的年金などの収入はどれくらいかといった情報が必要です。
厚生労働省や総務省統計局が出しているデータをもとに、それぞれの数値を紹介します。
寿命までに必要な資金
老後に必要な資金は、いつまで生きるかで変わってきます。
寿命については個人差があるものの、平均寿命を知っておくと、それまでの期間に必要な資金を算出しやすくなるでしょう。
厚生労働省によると、令和2年における男性の平均寿命は81.64歳、女性は87.74歳となっています。
出典:「令和2年簡易生命表」(厚生労働省)
老後を60歳からだと考えると、男性は約21年間、女性は約27年間分の老後資金を用意しておく必要があるということです。
毎月の生活費
続いて考えたいのが、老後の毎月の生活費です。総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)」によると、65歳以上の高齢単身無職世帯における毎月の生活費の平均額は以下のとおりです。
項目 | 月平均額 |
食料 | 36,581円 |
住居 | 12,392円 |
光熱・水道 | 12,957円 |
家具・家事用品 | 5,328円 |
被服および履物 | 3,181円 |
保健医療 | 8,246円 |
交通・通信 | 12,002円 |
教養 | 0円 |
教育娯楽 | 12,910円 |
諸雑費 | 13,1806円 |
交際費 | 15,253円 |
仕送り金 | 1,066円 |
直接税(非消費支出) | 6,430円 |
社会保険料(非消費支出) | 5,082円 |
合計 | 144,608円 |
出典:「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)」(総務省統計局)
毎月の生活費については個人差があり、家賃の金額によっても大きく変わります。賃貸物件に住んでいれば住居費は増えますが、マイホームであればほとんどかかりません。
しかし、少なくとも毎月15万円くらいの出費はあるとみて、資金を準備しておく必要があるといえるでしょう。
老後の資金を準備するには?
老後にはそれなりの資金が必要となるので、早くから計画的に貯める必要があります。現役として働ける期間が残り少なくなってから貯めようと思っても、十分な額を確保するのは厳しいからです。
この項目では、老後の資金を準備するための方法を紹介します。
現在の収支を把握する
老後に必要な資金を貯めるためには、現在どれくらいの貯金ができているのか、目標の資金に達するまでにはいくら足りないのか把握する必要があります。
ただ、「無駄遣いをせずに、できる範囲で貯金しよう」と考えるだけでは、目標金額を貯めるのは簡単ではありません。今の収支状況を明確にして、資金を貯めるための計画を立てることが大切です。
たとえば、毎月5千円貯金しているとすれば、1年間で6万円になります。仮に30年間同額を貯金しても用意できるのは180万円です。
女性の場合は少なくとも210万円用意したいところなので、これでは若干足りていません。
このように貯金額と目標額を比較してみると、毎月いくらくらい貯金すべきなのかを知ることができます。また、必要な貯金額を確保するために何をすべきか、といったことも見えてくるでしょう。
さらに、退職金の金額や定年の時期などによっても現役時代に貯めるべき資金の額は変わってきます。受け取れる退職金や定年の時期なども考慮して、老後の資金確保のための見通しを立てると良いでしょう。
毎月の生活費を見直す
毎月の生活費を見直して、無駄な出費をできるだけ減らすことも老後の資金を貯めるのに役立ちます。
以下は節約方法の例なので、できるものからやってみてはいかがでしょうか。
■食費
毎月の予算を決めて、その範囲内でやり繰りすると無駄な出費を防げます。また、買い物に行く回数が多いと余分なものを買ってしまいがちな方は、行く頻度を減らすのも効果的です。
■通信費
格安スマートフォンに乗り換えたり、携帯電話とインターネットのセット割を利用したりすると、毎月の費用を節約できます。
■保険
生命保険はライフステージに応じて見直すことで、保険料を安くできます。
■住居費
マイホームの場合は住宅ローンを早めに完済し、賃貸の場合は老後の生活に応じてダウンサイズを検討などすると、出費を抑えることができます。
元気なうちは働き続ける
原則として、公的年金は65歳から受給できますが、年金の受け取りを先延ばしにする繰り下げ受給をすることで、年金額を増額できます。
元気なうちは働き続けて年金の受給開始時期を先に延ばせば、将来の受給額が増えますし、老後の資金の補填もできるといったメリットがあります。
今まで慣れ親しんできた職場で嘱託社員として働き続けられると理想ですが、そうでない場合は定年後でも雇用してもらえる職場を探してみましょう。
とはいえ、定年後は体力的に自信がない方も多いでしょう。現役時代のように働くのが難しいと感じる方は、体力をあまり使わない職場で無理のない程度に働くことを考えましょう。
年金受給開始を70歳からと決めたら、受給までの期間は生活費を補える程度の収入を得られる範囲で働くことが賢明です。
金融商品を活用する
貯金に加えて「つみたてNISA」や「iDeCo(イデコ)」などの金融商品を活用して老後の資金確保に備えることもできます。
つみたてNISA(少額投資非課税制度)
つみたてNISAは、積立投資をする際に利用できる制度です。通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、つみたてNISAは投資で得た分配金と譲渡益を非課税で受け取ることができます。
投資できる額は年間40万円までで、最長20年間が非課税期間です。つまり、毎年最大額を投資していくと最大800万円は非課税で投資できる計算になります。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoとは、確定拠出年金法に基づいた私的年金の制度です。毎月、自分で一定の掛け金を積み立て、預金や保険、投資信託などの商品のなかから選択して自分で運用します。掛け金は全額が所得控除の対象となるので、所得税と住民税の節税効果が得られるのがメリットです。
掛け金と運用で出た利益の合計額は、60歳以降に年金または一時金として受け取ることができます。
まとめ
独身で老後を迎えると、公的年金だけでは毎月2万7千円ほど不足すると考えられます。少なくとも男性であれば81.64歳、女性は87.74歳の平均寿命までに必要となる資金を確保しておくことが大切です。
現在の収支を把握し、今のうちから貯金するほか、金融商品を利用するなどして老後の資金を計画的に準備しておきましょう。